2021 秋の人間国宝展

11月から約1ヶ月間、先代から受け継がれてきた伝統・文化の結晶を今回は初めて一同に介し展示させていただいております。
染織のみならず陶芸、漆芸、木工芸、人形など秋の芸術にふさわしい工芸品を特別な空間にてご招待させていただいたお客様にご覧いただいております。技法や素材などひとつひとつの作品ごとにもちろん違ってきますが伝統・文化という視点では大きくひとつの繋がったものづくりとして捉え、京都という場所で今後も古き良きを大切にすること受け継いでいかなければいけないと感じました。ひとりの人、ひとつの企業だけでなく自治体、国が「工芸品のものづくり」をもっと支えていくようになればよいなと感じております。

力織機研修

先日、西陣織工業組合主催の研修に参加させていただきました。
丹後にある京都府織物・機械金属振興センターにて行われました。

私(執筆者)は入社してまだ日が浅いので、帯やきものの知識もまだまだ未熟です。ましてや製織の知識は全くありません。一度だけ、織機を拝見したことはありましたが、いつも織り上がった製品と本の知識で勉強をしていました。

何がどう動いて、どのような仕組みで織られていくのか教えていただくほど、複雑で、たった1反の帯が出来上がる過程は想像以上に難しいものでした。しかし、自分の目で動き方や仕組み、組織を拝見できたことは短い時間であっても確かな知識となり、より一層理解が深まりました。それだけで帯を織れようになったわけではありませんが、もっと深く学び、それを一般の方目線で伝えていくことができるのではないかと思いました。


小幅シャットル織機

シャットル(手前にあるよこ糸を巻いた管がなかにあるもの)を左右に動かすことによりよこ糸を挿入する。
※下の動画を参照してください。

シャットル織機は生産性が良いわけではありませんが、風合いの良い織物を作ることができ、見直しもされてきています。

丹後で稼働する織機はほとんどがこの小幅シャットル織機が占めていますが、織機の生産を行っているのももうごくわずかの企業になりました。

ジャカード

この装置でたて糸を細かく運動させ、いろいろな組織の組み合わせで紋様を表現できます。

織機の上部に存在しており、二階部分に設置されています。


これらは帯を織り上げるほんの一部の動作に過ぎません。実際に糸を動かしているときも多くの部品がうごめきあって仕上がっていき、また織機が動く前にもはたごしらえや整経、綜絖といった多くの準備が必要になってきます。そして、それぞれに携わっている人たちがいます。そのひとつひとつがすべて組み合わさって、やっと出来上がる帯一反に対する本当の価値に気づかされました。

きっと呉服業界に長年携わっている方々はこれらが「当たり前」で、知っていて当然だと思うでしょう。しかし、実際に使うユーザーや一般の方にとっては全く知らない部分であり、普段の生活の中では知る由もないです。この体系は呉服のみならず、多くの製品やサービスに当てはまりますが、作り手や提供者側の「当たり前」をもっとオープンに分かりやすく、そしてより多くの人に知ってもらうことができたなら、きっと使い手側に今まで以上に「共感」や「信頼」が生まれ多くの人にこれからも愛してもらえる伝統になるのだろうと研修を受けながら感じました。

本投稿での帯が出来上がる過程の説明は省かせていただきますが、今回の研修を通して、生産の現場を少しずつより多くの人に知ってもらうことが、本当に重要だと改めて感じました。ただ作るだけでなく、完成品を見せることがすべてではなく、どのような歴史を歩み、どのように織られて、どのように届けられるのか、伝えていかなければいけないのだと思いました。今まで通りではなく、時代に合わせた伝え方や魅せ方をしていくことが、伝統を守っていくことにつながり、ものづくりとは本当にモノをつくるだけではなく、伝承していくこともものづくりの一環なのだと感じました。

製織のことや呉服のことについて、ホームページのブログ機能やInstagramの自社アカウントでの投稿を活用して発信していこうと思います。

執筆者 橋本

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